こんにちは、ゆるりです!
「コンクリート主任技士の小論文ってどのように書けばいいの?」「小論文対策っていつ頃から始めたらいいの?」と思っている人は多いと思います。
今回は「コンクリート主任技士の小論文対策でやったこと」や「最低でも何月ごろから小論文対策を始めるべき」などについて徹底解説します。
ちなみに、コンクリート主任技士の勉強方法については以下で書いていますので御覧ください。
この記事は以下のような人にオススメ!
・小論文をどのように書いたらいいかわからない方
・いつ頃から小論文対策を始めたらいいか悩んでいる方
・独学で勉強しようと思っている方
この記事をご覧いただければ、コンクリート主任技士の小論文対策について知ることができ、合格への道のりがぐっと近づくこと間違いなしです。
私は2023年度のコンクリート主任技士に始めて受験し、一発で合格することができました。
以下がコンクリート主任技士登録証になります(個人名などは黒い四角で塗り潰しています)。
2024年度の4月1日に登録され、現在はコンクリート主任技士として日々の業務にあたっています。
無事に一発合格できたものの、コンクリート主任技士の小論文を始めたときはこのように思っていました。
普段の業務でも小論文なんて書かないですし、どうやって書いたらいいかわからないんですよね..
ですが、自分でいろいろと調べて勉強した結果、試験前には、
もう小論文は大丈夫!4択で落とされないように4択の勉強をラストスパートだ!
というようなかんじで、余裕を持って試験に望むことができました。
小論文さえ苦手意識を持たなければ、4択の勉強に集中できます。
そのため、コンクリート主任技士に合格するには小論文対策をしっかりやって自信をつけることがかなり大切です。
ですが、小論文対策は時間もかかりますし、ただでさえ仕事で忙しい中資格勉強は大変ですよね。
そのため、コンクリート主任技士に一発合格した私が小論文対策で行った内容をお話させていただきます。
この記事を最後までお読みいただけることで、一人でも多くの方に合格していただきたいと思っています。
それではどうぞ!
小論文対策は遅くても10月から
私の経験談になってしまうのですが、私は10月から始めて、完璧になるまでは1ヶ月かかりました。
その頃には試験まで残り1ヶ月となっていたため、そこからは4択の勉強にかなり集中していましたね。
思いの外、小論文対策に時間がかかったため、もう少し早くやっていても良かったかなと思います。
いくつかのパターンを作り、それを暗記する必要があるため、結構時間かかるんですよね。
そのため、遅くても10月からは始めた方がいいと思います。
ずばり、対策するテーマは4つ
対策するテーマは以下の4つです。
- 環境負荷低減について
- 耐久性向上について
- 生産性向上について
- 新技術について
過去の小論文のお題を見ていると、大きく分けてこの4つに絞られることがわかります。
そのため、この4つさえ完璧にすれば問題ないのではないかと思います。
ですが、「どうやってそれを書いていったらいいの?」という悩みを持っておられる方が多いと思いますので、1つずつ段階を踏みながら解説していきます。
まずは、それぞれの社会情勢を知ることが必要不可欠です。
これらを頭の中に入れて、しっかりと書けるようにしておくべきです。
4テーマの社会情勢について
環境負荷低減について
コンクリートは水、セメント、骨材等でできており、セメント製造時に多量のCO2を排出します。
その仕組みは以下になります。
- セメントの主原料である石灰石を燃やす
- 石灰石が燃えると、それの主成分である炭酸カルシウムに脱炭酸反応が起きる
- 脱炭酸反応により、酸化カルシウムとCO2に分解される
- 多量のCO2が排出される
ここで排出されるCO2がかなり多いというのが現状の課題であり、今後解決しなければならない点です。
ちなみに、ポルトランドセメント1kg当たりのCO2排出は、約765.5gのCO2です。
2021年度のポルトランドセメント生産高は3430万トンであるため、2021年度には約2626万トンのCO2が排出されたことになります。
コンクリートを扱う建設業界は、このCO2排出量の削減が急務の課題です。
また、日本は環境負荷低減対策として、2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言しています。
菅内閣総理大臣は2020年10月26日の所信表明演説において、我が国が2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。
加えて、2021年4月には、菅内閣総理大臣は、地球温暖化対策推進本部及び米国主催の気候サミットにおいて、「2050年目標と整合的で、野心的な目標として、2030年度に、温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指す。さらに、50%の高みに向けて、挑戦を続けていく」ことを表明しました。
第3節 2050年カーボンニュートラルに向けた我が国の課題と取組|経済産業省 資源エネルギー庁
この目標に向けて、産官学一体となって行動していくことが求められています。
耐久性向上について
コンクリートは「造る」から「維持管理」の時代に変わってきています。
高度経済成長期に造られたコンクリート構造物の寿命は約50歳を迎えていますが、一般的にコンクリートの寿命は約50年と言われており、高齢化が進んでいるというのが現状です。
ですが、すべてのコンクリートを壊して新しいものに更新するというのは経済的にも不可能です。
そのため、これらの劣化したコンクリートを上手に維持管理し、長寿命化、延命化することが求められています。
劣化要因には塩害、中性化、アルカリシリカ反応などがありますね。
以上のように維持管理の重要性が高まっていますが、日本では人口減少による作業員不足が問題となっており、維持管理の負担が非常に大きいという課題があります。
こういった課題がある中で構造物の長寿命化、延命化をどのように進めていくのかという現状がありますね。
生産性向上について
日本ではこれまで以上に人口減少のスピードが早まることが予想されており、実際に建設現場では労働人口減少の一途を辿っています。
このままでは将来、国民の生活になくてはならないインフラ整備が立ち行かなくなる可能性があります。
そのため、建設現場での省人化、省力化を進めていくことで労働力不足を補っていく必要がありますが、それを具現化したものが2016年に国交省が表明した「i-Construction」です。
「i-Construction」とは、国土交通省が進める建設業界の生産性向上を目指す取り組みのことです。建築業界は、他の産業と比較しても、生産性が低いというデータがあり、政府は業界の改革の必要性を重く受けとめています。
多くの人は「i-Construction」といえば、ICT化ばかりがイメージされやすいのですが、「i-Construction」のコンセプトは、次の3つです。ICT化は施策の1つと言えるでしょう。
- ICTの全面的な活用(ICT土木)
- 規格の標準化
- 施行時期の標準化
これらの取り組みを総括して、政府は「i-Construction」と命名しています。ICT技術の活用を中心に規格の標準化・施行時期の標準化を実施し、建築業界の生産性向上を目指しています。
i-Constructionとは?企業へのメリットや目的・施策をわかりやすく解説 | ブイキューブのはたらく研究部
また、これまでの「i-Construction」の取り組みをさらに加速するために、令和6年の4月に「i-Construction 2.0」が策定されています。
i-Construction 2.0では、2040年度までに建設現場の省人化を少なくとも3割、すな
「i-Construction 2.0」を策定しました~建設現場のオートメーション化による生産性向上(省人化)~ | 国土交通省HP
わち生産性を1.5倍向上することを目指し、「施工のオートメーション化」、「データ連携
のオートメーション化」、「施工管理のオートメーション化」を3本の柱として、建設現場
で働く一人ひとりが生み出す価値を向上し、少ない人数で、安全に、快適な環境で働く生
産性の高い建設現場の実現を目指して、建設現場のオートメーション化に取り組みます。
バージョン2.0に上げたことによって、今まで以上に力を入れていくぞという意気込みが見えますよね。
勿論、民間企業や地方自治体にも関わってくる話ですから、コンクリート主任技士の小論文のテーマになりそうなかんじはします。
しっかりと内容の把握をしていた方が良さそうなテーマですね。
新技術について
これまで、環境負荷低減、耐久性の向上、現場の生産性向上と3テーマの社会情勢について話してきました。
残りの1つである新技術は、今世の中が抱えているこれらの現状を打破する解決策として発明されるものです。
世の中にどういった問題があり、どのような新しい技術が発明され、実用化に向けて現在どの段階にあるのかを知っておく必要があります。
CO2を吸収できるコンクリートや、ひび割れを自己修復するコンクリート、ゼロセメントのコンクリートなど様々なコンクリートが研究・開発されています!
テーマに関する自分の業務との関係性について
コンクリート主任技士の小論文では、テーマと自分が普段行っている業務との関係性を書くことが多いです。
そのため、各テーマ毎に実務内容を具体的に書けるようにしておくべきです。
具体的に書くことで、説得力が増しますし、読み手も興味関心を持ちやすくなりますよね。
大勢の小論文を添削する人にとって、みんなが書いているようなありきたりなことを書いていても採点点数を上げようとは思わないでしょう。
そのため、実務をしている中で問題となっていることや失敗したこと、工夫したことなどを具体的に書くことがポイントだと思います。
仕事は普段からハプニングの連続だと思いますので、起きた事象をわかりやすく、しっかりと書けるように準備すれば問題ないかと思います。
以下に私が考えていた内容をざっくりと書きます(テーマは耐久性の向上で塩害対策想定です)。
塩害対策には、高い耐塩害性を持つ特殊混和材を添加した設計を提案することが多い。その混和材はコンクリートを緻密にするため、コンクリート中の塩化物イオンの侵入を防止できる。また、乾燥収縮量なども抑えられるため、塩害用製品でありながら、長寿命化構造物としての役割も期待できる。だが、特殊混和剤のコスト高が敬遠される傾向にある。産官学が連携し、コスト高の問題を打破する必要がある。
テーマに関して、コンクリート主任技士として貢献できること
このような問いもよく出てきますので、書けるようにしておきましょう。
ですが、「コンクリート主任技士として」ってなんだか難しいですよね。
コンクリート工学会のコンクリート主任技士試験受験の案内を読むと、コンクリート主任技士の定義は以下のようになっています。
「コンクリート主任技士」は,コンクリートの製造,工事および研究における計画,管理,指導等を実施する能力のある高度の技術を持った技術者とします。
2024 年度 コンクリート技士試験 コンクリート主任技士試験 受験のご案内 |コンクリート技士主任試験受験案内
「コンクリート主任技士」 = 「コンクリートに関する高度な技術を持った技術者」として、あなたなら何ができるかということをアピールする問いですかね。
ちなみに、私が考えていた内容をざっくりと書きます(テーマは生産性向上Verです)。
現場の労働力不足の解消には、二次製品を積極的に活用するのが良いと考える。
私は二次製品の設計の仕事であるため、より安価な断面や施工性の良い製品の開発や設計を行う。
そうすることにより、現場の労働力不足の解消に繋がっていく。
難しく考えすぎないでいいと思いますが、アピールポイントですから4テーマ分しっかりと対策するべきですね。
小論文の添削はどうしたらいいの?
まず、小論文の添削は必ず1度はしてもらいましょう。
自分では大丈夫と思っていても、他人が見ると???となることは多いです。
私はモリマサのブログを運営しているモリマサさんに依頼しました。
大体10月くらいからだったと思いますが、コンクリート主任技士の小論文添削をしてくれます(毎年ではないかもしれませんが..)。
勿論無料ではなく、私のときは1つの小論文添削に5,000円でした。
少々お高いですが、添削をお願いするとプロの目で丁寧に見てもらえます。
5,000円で3回ほど添削してもらいましたが、たくさんのご指摘をいただくことができました。
1つでも完璧な小論文が出来上がると自信がつくんですよね。
残りの3テーマも同じように書けばいいだけですから。
いつから添削を始めるかわかりませんから、定期的にモリマサのブログを覗くのがいいでしょう。
注意することはあるの?
私が小論文を書く上でここは注意した方がいいと思った点を挙げさせていただきます。
1文が長いと読みづらいため、1行は60文字程度以内を目指す
以下に例を挙げます。
いかがでしょうか。
3文にするだけで一気に読みやすくなりますよね。
小論文だと専門用語を書くことも多いですから、1文が長いとこれ以上に読みづらくなります。
そのため、1文が長くなりすぎないように注意して書くべきです。
問題文をよく読んで、問われていることに答える
試験になると焦ってしまって、問われていることに答えられない可能性があります。
そのため、問題文を何回も読んで、整理してから書き始めることが大切です。
2023年度の小論文では(1)〜(4)のお題全てに「具体的に」と書かれていました。
具体的に書けるようにかなり意識しながら書きましたね。
必要文字数の9割以上なくてもいい
コンクリート主任技士の小論文では、「何行〜何行で書け」や「何文字以上で書け」などの指定があります。
巷では、原稿の9割以上は埋めた方がいいなどといった記事をよく見かけます。
私もそれを信じて書くつもりではいたのですが、本番では時間が無くて、そんなにたくさん書けませんでした。
特に、試験問題の(4)の「選択したテーマに関して、あなたがコンクリート主任技士として具体的に貢献できること(7〜14行)」との問いだったのですが、8行しか書けませんでした。
8行しか書けなかった..
落ちた..
と思っていました。
ですが、結果は合格でした。
自分の手応えとしては行数は8行しか書けませんでしたが、具体的に書けているなという自信はありました。
そのため、内容が全てだと思います。
採点者側から見ても、だらだら書いているものより簡潔に具体的に書いてある方がいいですよね。
巷では9割以上と書いてあるものが多いですが、問われていることに対して確実に答えるということを意識した方がいいでしょう。
過去問を解きまくる
最後はこれです。
過去問をたくさんやって、バリエーションを身に着けていくしかないです。
基本の形は暗記しておいて、どんな問いがきても臨機応変に対応できるようにしておくのがいいでしょう。
過去問を一通りやったら自信もつくと思います。
この自信があるからこそ、11月からの4択対策に集中できるんです!
小論文回答例(令和2年度)
例として、令和2年度分で自分が考えていた小論文をそのまま書きます。
これを本番で書いたわけではないため、このように書けば合格できるというものではないです。
そのため、あくまで参考程度で御覧ください。
「コンクリート分野での環境負荷低減」というテーマについて、以下の問いに答えよ。
(1)あなたの技術的知識について述べよ(350字程度)。
(2)あなたの業務との関係について述べよ(300字程度)。
(3)あなたが考える今後の展望を述べよ(150字程度)。
以下、回答です。
(1)コンクリート分野における環境負荷低減に向けた取り組みには様々なものがある。ここでは、CO2削減のための施策を以下に記す。
①セメントの一部、又は全量を混和材で置換する。
②構造物の長寿命化を行う。
などが挙げられる。①については、高炉スラグ微粉末を70%置換する方法や、全て高炉スラグ微粉末とし、ゼロセメントで製造する方法がある。そうすることにより、CO2排出量を大幅に低減できる。だが、混和材の長距離輸送を行ってまで、混合セメントは使用しないものとする。なぜなら、輸送に伴うCO2の増大が、混合セメント使用によるCO2低減の効果を打ち消すことになるためである。また、②については、長寿命化を行うことで補修、解体、新設時などに発生するCO2排出量を大幅に低減できる。だが、建築物の場合には注意が必要である。なぜなら、建設時のCO2よりも、使用期間中における空調設備等の運転により排出されるCO2の方が大きいことが多い。そのため、空調効率のよくない建築物を長寿命化することは、かえって環境負荷の増大に繋がるため、注意が必要である。
(2)私は設計の業務を担当している。現在、私の業務で行っているCO2低減の取り組みとしては、高い耐久性を持つ特殊混和材を添加した設計を提案するというものである。その混和材は、コンクリート1m3あたり20〜40kg添加することにより、コンクリートを緻密にするため、コンクリート中への塩化物イオンの侵入を防止できる。また、乾燥収縮量が小さく、耐凍害性にも優れるため、構造物が長寿命化する。さらに、高炉セメントB種にこの混和材を添加することで、より密実で高耐久な製品となるため、100年を超える長寿命化構造物となる。また、高炉セメントであるため、CO2排出量低減が可能となる。だが、この特殊混和剤はコストがかかるため、現場打コンクリートとの比較段階で不採用となるケースがほとんどとなっている。
(3)今後の展望としては、環境負荷低減のために革新的な新しい技術が開発されていくと思われる。だが、新技術というのは、いずれもコストがかかり、実用性には程遠い場合が多い。そのため、産官学連携により、コスト面等の問題点を打破し、実用的なものを開発していく必要がある。
いかがでしたでしょうか。
ご参考になるところがあれば幸いです。
まとめ
コンクリート主任技士の小論文の勉強方法等について解説しました。
今回のポイントを簡単にまとめますと、以下の通りです。
小論文対策で気をつけることなどがおわかりいただけたのではないでしょうか。
4択対策、小論文対策とやることはたくさんありますが、頑張った分だけ合格に間違いなく近づいていきます。
諦めずに頑張ってください!
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。